リサーチに国境なし。
まず海外でテーマを見つける教育

海外フィールド・リサーチという、挑戦

1年次にテーマを見つけ、4年間で育て、ライフワークとする

テーマは、与えられない。「ここ、いま」から見つけ出す

大学1年次。24日間の挑戦が始まる

現地に赴いてこそ見えてくる「いま」の課題がある

教科書やネットでは遅い? 現代の国際関係事情とは

イギリスのEU離脱問題や、東アジアの安全保障問題、米中の貿易戦争など、現在の国際関係に関する様々な問題が報道されている。ただ、ニュースに上がるのは政府や国際機関、グローバル企業の動向。もちろん、抽出された「街角インタビュー」はあるものの、本当に世の中の人々がどのように感じているか、どんな問題が起きているのかはなかなか見えてこない。

例えば、EU離脱問題では既に日本のいくつかのメーカーがイギリス市場からの撤退を検討するなどの動きも出ており、現地での雇用状況、ひいては家計にも影響を及ぼしている。また米中の貿易戦争により価格が上がった部品によるメーカーの経営状況悪化や、輸出に依存してきた農家の困惑、スーパーマーケットで安い輸入農産品を買ってきた主婦の困難など、見えにくい「いま」は多々ある。

こうした問題を教科書やネットといった「二次情報」で遅ればせながら学ぶのか?
いや、そうではない。そう決意し、入学した1年次の時点で「まずは課題探しから」という現地視察の取り組みを始めた大学がある。2019年4月に新設された京都産業大学の国際関係学部では、1年次から約3週間に及ぶ「海外フィールド・リサーチ」という海外実習を卒業要件単位として設定している。「現地に赴かなくては、現地の課題は分からない」と考えるがゆえのカリキュラムであり、ここで見出した課題をもとに2年次以降に自らが学ぶ専門科目を適切に選択できるという考え方からだ。さらに海外フィールド・リサーチで獲得した成果を、より専門度の高い課題解決や検証に生かすための「国際キャリア開発リサーチ」科目開講も2〜3年次に予定されている。

現地の人々との交流から、「リアル」な課題が見えてくる

フィールド・リサーチが、大学の4年間を「学び」から「実践」へ変える

2019年度、つまり初年度の訪問先は7カ国10地域。春から初夏、冬まで、気候も多様な、まさに世界各地から選べる制度であり、十分に準備を積んだうえで2月中旬から各地へ赴く。

例えばアメリカのオレゴン州では、マリナーズやスターバックスで有名なシアトルでのOne  Day Tripも予定されているが、その大半は「アメリカにおけるビジネスの実情」のリサーチ。現地の家庭にホームステイし、ユーザーサイドの実態もリアルに把握しながら現地の企業を視察したり、アメリカンビジネスクラスの講義を受ける。

カナダではオンタリオ州で地域ボランティアを行うプログラムや、過去にカルガリー冬季オリンピックが開催されたアルバータ州でのホスピタリティツーリズムが選べる。いずれも、最低気温が零下になるという、日本とは全く異なる気候での文化や、そうした地域ならではの国際社会との関係性、課題を学ぶことができる。

一方、最低気温が17度以上と、日本でいえばまるで真夏のオーストラリアでは、先進の環境政策と、彼の地ならではの多文化主義政策をリアルに学ぶことができる。日本でも外国人労働者の増加など労働市場における多様化が進んでいるが、その最先端地域で、日本そして世界の今後について考えることができるというわけだ。同じオセアニア地域のニュージーランドでも文化や社会、環境保護について学ぶことができる。

他にも、タイではASEAN共同体の一構成国としてアジアのダイナミズムを、世界でも突出した多民族国家のマレーシアではその社会の多様性と伝統について学びながら、国際的な融合や対立について深く学ぶことができるだろう。政治や文化だけではなく宗教など国際関係学には欠かせない様々な要素を研究対象とした学問領域からのアプローチが可能だ。日本の経済パートナーとして成長著しいベトナムで、地域の発展について考えることもできる。

世界は今日も動いている。報道だけではすくいとれない現地のリアル、世界の文化の交錯を学ぶ3週間が、新たな国際人を育てる。見つける課題は決して楽しいものだけではないだろう。痛切な実感やもどかしさとともに、彼らは学ぶべき専門科目を選び、つかみとっていく。

海外の企業にも訪問。ビジネス的な課題も探る

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