糖質制限はダイエットの大敵!?
脂肪燃焼の味方、筋肉が減っていく

現代社会に増える「隠れ肥満」が、日本を滅ぼす。

驚異! 体内の糖質が減ると、体内はリスク対応を取り始める

その秘訣は筋肉を分解して糖質をつくりだすこと

糖質ダイエットが減らすのは、脂肪よりも筋肉だ

誤った科学的知見に基づくダイエットは、「今」だけでなく「未来」も危機に

糖質制限がうみだす、「人体の苦肉の策」

古代、繁栄を誇ったローマ帝国は飽食で滅びたという。一方現代、日本は摂食で滅びる…と言うと、言いすぎだろうか。昨今、米やパンといった炭水化物系の食べ物を控えることで体重を減らすというダイエット方法が若者を中心に流行しているが、そこに警鐘を鳴らしているのが京都産業大学 現代社会学部の森谷敏夫教授である。 糖質制限をすれば確かに体重は減る。しかし、減るのは脂肪ではなく筋肉なのだという。元来、糖質は人間が活動をするために必要なエネルギーであり、脳に至ってはほぼ糖質しかエネルギーにすることができない。では、必要な糖質が体内にないとき、人体はどう対応するのか? 答えは、「筋肉を食いつぶす」。筋肉を分解することにより、糖質を抽出するのである。1日の約60%のエネルギーは糖質から得られており、脳が1日活動するためには約100gの筋肉が必要となるという。炭水化物が摂取されないことで、糖質をうみだすための苦肉の策として、その分の筋肉が分解されていくのだ。
こうして、体重も見た目も確かにスリムになる。しかしそれは脂肪ではなく、筋肉や、筋肉に蓄えられているエネルギー源が削ぎ落とされていっている状態なのである。
結果、体脂肪率は増えていくが、デメリットはそれだけではない。筋肉が減れば体内のエネルギー燃焼率も下がっていく。つまり脂肪が燃焼しにくい体がどんどんつくられていく…というわけだ。

ダイエットに潜む危険性。人体の構造を正しく理解する必要がある

正しい科学の知見が、正しい未来の選択につながる

若い頃から、ある意味「着実に」脂肪を燃焼しにくい体づくりを行っていき、筋肉が弱っていけばどうなるか?もちろん現代社会にはエスカレーターがありエレベーターがあり、施設によっては動く歩道もある。当面、生きていくにはそうそう困らないかもしれない。しかし、衰えた筋肉は年を重ねていくにつれ、人体に負荷をかけるようになる。ましてや、20〜30代くらいから何も運動しない人は、筋肉が概ね1年に1%ずつなくなっていくというデータもある。そして筋肉が働くのは運動時だけではない。静止時にも姿勢を筋肉が支えている以上、これが衰えていくということは老後の要介護リスクが高まっていくことにもつながるだろう。 アメリカの南カリフォルニア大学大学院や京都大学で運動医科学・応用生理学を研究してきた森谷教授は現在、京都産業大学の現代社会学部で教鞭を振るっている。所属は健康スポーツ社会学科。研究者の育成というよりも、健康スポーツ科学の知見をしっかりと修得したうえで現代社会の健全な仕組みをつくるリーダーを育てるという新たな試みの学問領域である。科学による正しい知識を現代社会に生かすため、実際に、学生たちに「自らの体を研究対象に」「体脂肪や自律神経などを科学的に検証」しながら、「自分の体改造計画を立案」するという指導も行っているという。いま日本では高齢社会に向け「健康長寿」というキーワードが掲げられているが、果たして未来は健やかな長寿となるのか、自ら筋肉を衰えさせた男女が暮らす不健康な長寿社会となるのか。それは、まさに今一人ひとりが選択するライフスタイルが決めていくことであり、そのためには科学と社会をきちんとつなぐことが求められている。

未来の日本が「健康長寿」となるかどうかは、一人ひとりの「今」の選択次第

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