米ニューヨーク州 20年3月からレジ袋禁止へ

使い捨てポリ袋の使用が一部の例外を除いて禁止されるNY州。レジ袋の問題点とは?

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=LAURA PARKER/訳=北村京子
(PHOTOGRAPH BY KENA BETANCUR, VIEWPRESS/CORBIS/GETTY IMAGES)

京都産業大学による見どころチェック!

欧米で加速するレジ袋禁止の動き

レジ袋は動物にとっては大いなる脅威

回収システムの欠如が大量のプラスチックゴミにつながっている

 米国ニューヨーク州は、レジ袋の禁止に踏み切る。州全体での取り組みとしては、カリフォルニア州に続くもので、米国で2番目の事例となる。

 2019年4月に承認された2020年度の同州の予算では、小売店が使い捨てのポリ袋を客に提供することを2020年3月から禁止する条項や、同州内の郡が代替となる紙袋に5セント(約6円)の税金を課すことを認める条項が含まれている。

 2000年から制定され始めた、使い捨てのプラスチック製品やポリ袋を禁止に関連する法令で、禁止対象と指定される筆頭がレジ袋だ。国連による2018年7月までの集計では、127カ国以上の国でポリ袋を使用禁止としたり、これに税金をかけたりしている。 (参考記事:「海洋ゴミ、最も効果的な対策は?」

 ヨーロッパでは、15年前からポリ袋を減らす取り組みが始まった。EUの欧州議会では今週、ヨーロッパのビーチで見つかる、ポリ袋をはじめとした10品目を、2021年までに禁止する法案が可決されている。

 現在、米国では、州単位での取り組みが加速しつつある。2016年にレジ袋を禁止したカリフォルニア州以外でも、ハワイ州では州内の全郡で法令による規制があるため、実質上レジ袋の利用は禁止されている。全米州議会議員連盟のサイトには、ポリ袋禁止に関する法律をまとめたページがある。また「Ban the Bag 」というインタラクティブなサイトでは、法令を制定したり検討したりする州や郡など地方自治体の現状を報告しているので、全米各地の現状を確認可能だ。 (参考記事:「ハワイの海をすくったら、生き物とゴミがこんなに」

 レジ袋の一番の問題は、薄くて軽いという特徴にある。簡単に飛ばされてしまうため、木の枝に引っかかるだけでなく、排水管を詰まらせる原因にもなる。生物への影響もある。家畜や大型の動物が誤って食べてしまうこともあれば、細かくちぎれた袋の破片も鳥などが口に入れてしまうこともある。

 なかでも影響があるのが、海の生物だ。ウミガメの大好物はクラゲだが、ウミガメがポリ袋をクラゲと見間違えて食べてしまう。魚もこれを食べる。ポリ袋を食べて死んでいくクジラも多い。2019年2月にフィリピンで見つかったクジラは、胃の中に約40キロものビニール製品が詰まっていた。 (参考記事:「【動画】餓死したクジラ、胃にビニール袋80枚」

 意外なことだが、軽量のレジ袋はリサイクルにも向かない。地方自治体のリサイクル工場には、レジ袋を受け入れないところが多い。これは、レジ袋が機械を詰まらせることが多いからだ。食料品店の中には、使用済みのレジ袋を店頭で回収し、製造工場で再生レジ袋の原料としている店もある。しかし回収する店はまだ少なく、大多数のレジ袋は回収されていない。食料品店以外の小売店に目を向ければ、そもそも回収システムがないのが現状だ。 (参考記事:「リサイクルは1割弱 ごみのまま処分されるプラ」

 ニューヨーク州の環境保全局によると、州の住民によって使用されるポリ袋は、1年間におよそ230億枚に上る。ニューヨーク市だけで、1年間に100億枚以上の使い捨てポリ袋が消費されており、これをゴミに換算すれば1700トンにもなる。市はこれらのレジ袋を州外のゴミ埋立地まで運ぶために、年間1250万ドル(約13億7500万円)を支払っていると推定されている。

 なお、今回のニューヨーク州の法令では、レストランなどでのテイクアウト用の袋、肉や惣菜などに使う袋、衣料クリーニング用の袋、ゴミバケツの中に入れて使用する袋は、使い捨てポリ袋使用禁止の対象外となっている。

NATIONAL GEOGRAPHIC
日本版サイトへ

シェアする

関連する学び

あわせて読みたい記事

宇宙探査

宇宙生活で染色体に異変、双子で実験、最新研究 ISS滞在で人体に起きた変化を双子の兄弟と比べた、認知力にも変化 NATIONAL GEOGRAPHIC

多様性

絵文字の肌の色は 人種差別につながるのか? 10億件のTwitter投稿を調査した NATIONAL GEOGRAPHIC

所得格差

鳥はお金持ちが大好き 最新研究で判明 所得水準が高い人が住む地域には、多様な鳥が集まる正の相関があった NATIONAL GEOGRAPHIC
記事一覧に戻る