人々を癒すセラピー犬、
犬はどう感じている?

小児がん病棟のセラピー犬を科学的に調査、最大規模の研究結果

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Linda Lombardi/訳=高野夏美
PHOTOGRAPH BY JESSICA RINALDI, THE BOSTON GLOBE/GETTY

京都産業大学による見どころチェック!

「セラピー犬」という“職業”。向く犬、向かない犬。

人には“癒やし”。犬には“遊び”。

セラピーとは、人と犬の“相互利益”

 愛犬家なら、ペットのイヌと一緒にいるだけで心地よく感じるもの。

 したがって、がん、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、認知症などを患っている人が、親しげなセラピー犬に癒やされるのは驚きではない。(参考記事:「イヌの癒しの力、銃乱射事件の町で発揮」) 

 セラピー犬は全米で5万匹を超え、ノルウェーからブラジルまで、多くの国で普及が進んでいる。さまざまな団体によって訓練と認証を受けたセラピー犬は、訓練士と共に病院などの施設へ行き、患者と触れ合う。 

 アニマルセラピーは実際に効果があることが、研究でも確かめられている。しかし、人間を助けることについて、イヌはどう思っているのだろうか。科学もこの疑問に取り組み、その結果は心強いものだった。(参考記事:「イヌはネコより賢い? 科学が出した答えとは」) 

 学術誌「Applied Animal Behaviour Science」に掲載された最近の研究によると、小児がん病棟のセラピー犬は「仕事」でストレスを受けておらず、むしろ楽しんでいる場合が多いようだという。(参考記事:「犬にも感情がある、MRIで確認」) 

「この研究が他と違うのは、複数の施設で調査を行った点です。米国内の5つの病院で、100人以上の患者を訪問し、26匹のイヌが参加しました。これにより、同じ分野の類似の研究の中で最大の規模となっています」。研究を主導したエイミー・マッカラ氏はこう語る。氏はワシントンD.C.に本部を置く動物福祉団体「米国人道協会(American Humane)」で、研究および治療法の全米ディレクターを務めている。 

ストレスには変化なし

 研究チームが測定したのが、イヌの唾液に含まれるコルチゾールの値だ。このホルモンは、ストレスに反応すると値が上昇する。自宅にいるときと、病院でセラピーに従事しているときに、綿棒で唾液サンプルを取った。(参考記事:「ドローンはストレス源? 動物保護に課題」) 

 だが、激しい運動で急増するコルチゾールは、犬が喜んでいるときにも増えることがある。「ボール遊びが大好きなイヌがいるとしましょう。ボールが目の前に現れ、イヌがボールを追い始めると、

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