米国初の海底美術館がオープン、なぜ海底なのか?

単なる芸術鑑賞を超える、海底ならではの意味

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=ALEX CREVAR/訳=潮裕子
PHOTOGRAPH BY LUIS JAVIER SANDOVAL, VWPICS/REDUX

京都産業大学による見どころチェック!

水深約18メートル。海底の新たな楽園

シュノーケリングから生まれた「ひらめき」

生命の美を「経験」。そこからうまれる地球の未来

 海底の砂地は、アートとは無縁と思われるだろう。だからこそ、美術館を設置するのにふさわしい場所となった。

 米国フロリダ州、ウォルトン郡の海岸から約1.2キロの沖合に2018年6月末、米国初の海底美術館「UMA(Underwater Museum of Art)」がオープンする。(参考記事:「【動画】深海2300mにサンゴの群体、まさかの発見」

 海底に設置された美術館の例としては、メキシコ、カンクンの海底美術館とスペイン、カナリア諸島のランサローテ島にある「アトランティコ海底美術館」がある。UMAもこれらと同じく、ダイバーにうってつけの観光スポットになるだろう。水深約18メートルの海底に設置された7個の像を訪れれば、芸術作品を鑑賞しながら、環境を守ることの大切さを感じることができる。

 この美術館は一般に開放され、無料で楽しめる。今回の計画は、ウォルトン郡の芸術機関CAAと人工魚礁を設置する環境保全団体SWARAとが協力し、同郡の観光開発審議会と全米芸術基金(NEA)の支援を得て実現された。 

アートであり、魚のすみかでもある

 今回の展示物には、海洋学者ジャック・クストー氏が発明した潜水器材「アクアラング」へのオマージュ作品、編みかごのようなパイナップル、巨大な頭蓋骨などがある。いずれもサンゴや魚などの海洋生物が集まりやすいように作られている。(参考記事:「クストー生誕100年、その功績と影響力」

 芸術機関と人工魚礁を作る環境保護団体とが、なぜ手を組むことになったのか、不思議に思われるかもしれない。だが、芸術はそもそも予測不可能で、直感に基づいているものだ。 今回の場合、CAAの役員で芸術家のアリソン・ウィッキー氏が2017年にカメの形をした人工魚礁の上でシュノーケリングをしたことがきっかけだった。その人工魚礁は、SWARAが設置したものだった。(SWARAは周辺の海底に合計で13の魚礁を設置している。いずれの魚礁も多くの構造物からなり、2015年以降だけで700個が設置されている)

「突然ひらめいたんです」と語るウィッキー氏は、魚礁の輸送手段についてSWARAと相談したのち

NATIONAL GEOGRAPHIC
日本版サイトへ

シェアする

関連する学び

あわせて読みたい記事

古代

古代の蛮族ゲルマン軍、 数倍規模か、定説覆す発見 デンマークの湖に鉄器時代の大量の人骨、戦闘後に儀式? ローマ戦以前 NATIONAL GEOGRAPHIC

多様性

絵文字の肌の色は 人種差別につながるのか? 10億件のTwitter投稿を調査した NATIONAL GEOGRAPHIC

海洋

太平洋ゴミベルト、 46%が漁網、規模は最大16倍に 「調べれば調べるほどプラスチックが見つかってしまう」と研究者 NATIONAL GEOGRAPHIC
記事一覧に戻る