【解説】火星に複雑な有機物
を発見、生命の材料か

有機物の証拠となる2本の論文、火星生命探査が前進

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Michael Greshko/訳=三枝小夜子
PHOTOGRAPH BY NASA

京都産業大学による見どころチェック!

巨大なクレーターに、命の源を発見

化学成分が季節変動!? まるで別世界

強まる生命存在の可能性。調査は続く

 2012年以来、火星の表面を探査車が走っているのを、皆さんは覚えておられるだろうか? NASAの火星探査車「キュリオシティ」は、私たちの火星観を一変させた。(参考記事:「キュリオシティ、いよいよ本格稼働へ」

 そして今回、かつての火星には炭素を含む化合物、すなわち有機分子があったことが明らかになった。有機物は、生命の主な材料になる物質だ。キュリオシティの調査から、火星の表面に大きな有機分子が見つかり、6月8日付け学術誌『サイエンス』に論文が発表された。(参考記事:「祝3周年!素晴らしき火星探査フォトギャラリー」

 1970年代に始まった火星の有機物探査が、初めて決定的な証拠をつかんだことになる。これまでの実験でも有機物の存在を示唆する結果は出ていたものの、火星の土壌に存在する塩素が、その解釈を複雑にしていた。(参考記事:「火星で有機化合物検出も、由来は不明」

 論文の筆頭著者であるNASAのゴダード宇宙飛行センターの生物地球化学者ジェニファー・アイゲンブロード氏は、「火星探査車は、人類がこれまでに宇宙に送り出してきた数々の装置のなかでも群を抜いて複雑なものです。そんな途方もない装置を使えるようになったおかげで、昔は不可能だと思われていた研究もできるようになりました」と言う。「すばらしいスタッフと一緒に、本当に多くのことを発見できました」 

 キュリオシティの最新のデータは、約35億年前に火星のゲール・クレーターを満たしていた湖水に、複雑な有機分子が含まれていたことを明らかにした。湖の堆積物からできた硫黄を含む岩石中には、その痕跡がまだ保存されている。この硫黄は、岩石が地表に露出して放射線や過塩素酸塩という漂白剤に似た物質にさらされたときに、有機物を保護する役に立っていた可能性がある。(参考記事:「火星のクレーターは巨大湖だった?」) 

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