地球の最低気温を更新、
-94℃、南極の高地

「ほとんど別の惑星」と科学者、衛星からの観測データを解析

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=Alejandra Borunda/訳=鈴木和博
PHOTOGRAPH VIA DIGITALGLOBE VIA GETTY IMAGES

京都産業大学による見どころチェック!

地球はどこまで寒くなる?

衛星を頼りに極寒地点の発見へ

地面すれすれが、真の極寒地点となる

 地球はどのくらいまで寒くなるのだろう? 今回、衛星からの観測により、地球で最も寒い場所が明らかになった。

 気温マイナス94℃という超低温が記録されたのは、長く暗い極地の冬で、南極大陸を覆う氷床の真ん中あたりだ。標高3800メートルを超える。6月25日付けの学術誌「Geophysical Research Letters」に発表された論文によると、いまの地球表面で到達しうる最も低い気温に近いと観測チームは考えている。

 研究を率いた米コロラド大学ボルダー校、米国雪氷データセンターの研究者、テッド・スカンボス氏は、「ほとんど別の惑星と言えるくらい、地球が限界近くまで寒くなっている場所です」と述べる。(参考記事:「地球で「火星」を体験できる場所6選」

 現地で実際に観測された過去の最低記録は、南極点からそう遠くないロシアのボストーク基地のマイナス89.2℃だった。1983年のことだ。これほどの寒さでは、人間は数回呼吸するだけで肺出血を起こしてしまう。そのため、外で観測を行うロシア人科学者は、呼吸する前の空気を暖めるマスクを着用していた。(参考記事:「南極大陸で史上最低気温を記録」) 

超低温を生み出す浅い「くぼみ」

 東南極氷床の表面は平らに見えるが、実際は巨大な氷でできたカメの甲羅のように、中心から外側に向かって低くなるドーム状になっている。ボストーク基地はドームのほぼ中心、厚さ約3500メートルの氷の上にあるが、頂上にあたる場所ではない。スカンボス氏のチームは、氷床の最も高い場所では、さらに寒くなる可能性があると考えた。(参考記事:「絶景、氷の世界のアドベンチャー写真21選」

 氷床の頂上付近に観測基地はないので、南極の真冬の間に、実際にそこで気温を測るわけにはいかない。しかし、上空を通過する衛星からなら、氷床に積もった雪の表面温度を観測できる。そこでスカンボス氏らは、数年分の衛星データを解析し、温度が低くなる時間と場所を調べて地図上に表した。

NATIONAL GEOGRAPHIC
日本版サイトへ

シェアする

関連する学び

あわせて読みたい記事

人体

宇宙旅行、脳に永続的な影響か 最新研究 半年間の宇宙滞在から戻って7カ月後も髄液減らず、脳の一部の組織が減少 NATIONAL GEOGRAPHIC

漁業

衛星で漁船を追跡、なんと 海面の55%超で漁業が 地球規模のデータを水産資源の持続可能な管理に役立てる NATIONAL GEOGRAPHIC

宇宙

【解説】NASAの新衛星 TESS、宇宙で何を? 太陽系外で「生命のいる惑星」を探す足がかりに NATIONAL GEOGRAPHIC
記事一覧に戻る