【動画】深海生物をやさしく
とらえる「手」が登場

クラゲもOK、「折り紙ロボットハンド」の開発に成功

NATIONAL GEOGRAPHIC

文=MICHAEL GRESHKO/訳=鈴木和博
Courtesy of MBR

京都産業大学による見どころチェック!

捕まえ、調べ、解き放つ。深海の科学者

開発のヒントは、"折り紙の数学"

DNAサンプルの採取や動画撮影まで、広がる可能性

 かつてないロボットハンドが登場した。深海生物を捕まえ、そして傷つけずに解放するために。 

  この現実の“モンスターボール”は、7月18日付けの学術誌「Science Robotics」で発表された。ボウリングの球よりもわずかに小さく、できる限りシンプルな構造になっており、1つのアクチュエーター(駆動装置)だけで12面体を閉じたり開いたりできる。5本の指を使った開閉操作にかかる時間は1秒未満。水深600メートルを超える深海でも、泳ぐクラゲや擬態するタコを無傷で捕まえられる。(参考記事:「【動画】生きた筋肉で動くロボット開発、東大」

「回転駆動12面体」という意味の英語の略称から、この装置はRADと呼ばれている。これを使えば、捕まえにくい海底の生物からデータを収集し、傷つけずに解放できる。開発者は、研究対象となる深海生物にとってやさしい装置にしたかったという。

「深海生物は、ゆっくりと、長く生きるものです」と、論文の共著者であるロバート・ウッド氏は電子メールで述べた。ウッド氏は米ハーバード大学のロボット研究者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーでもある。「彼らを傷つけることなく、研究できるようにしたいのです」(参考記事:「深海でじっとしていると長生きに、最新研究」) 

深海生物をゲット、そしてみんな解放

 100年以上研究が行われているにもかかわらず、深海の世界はいまだに謎に満ちている。なかでも、水深200メートルを超す約10億立方キロメートルの「外洋深海域」では、生命の探求はほとんど行われていない。そこには、100万種近くの未知の生物が生息しているとも言われている。(参考記事:「ナショジオが世界初の有人深海調査を支援」

 深海の謎解きは一筋縄ではいかない。深海生物のサンプル採取には、長いこと特殊なトロール網が使われてきた。しかし、この方法では、サンプルが死んでしまうばかりでなく、やわらかい生物はバラバラに壊れてしまう。海に沈めておくタイプのサンプル採取器もあるが、扱いが非常に難しかったり、深海生物を水槽に吸い込んで海上に運ぶまでに傷つけてしまったりすることもある。

「どうすれば海底の動物を傷つけずに、今まで以上の情報を集めることができるでしょうか」と、論文の共著者のデビッド・グルーバー氏は問う。「私たちは、自然の世界とつながるために技術を使おうとしています」。グルーバー氏は米ニューヨーク私立大学の海洋生物学者で、同じくナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーだ。

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