ネアンデルタール人の暮らし、なんと週単位で判明

25万年前の子育てから厳しい冬の過ごし方まで、歯の分析で

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文=MAYA WEI-HAAS/訳=鈴木和博
PHOTOGRAPH BY IRA BLOCK

京都産業大学による見どころチェック!

「歯を読む」科学者が解き明かす事実とは?

まるで日記。歯は成長記録となる

歯を読み解くほど近づく“旧人”と“新人”との距離

 ターニャ・スミス氏は、まるで本を読むように歯を読む。

 歯を構成する各層には、食べものから病気まで、さまざまな情報が刻まれている。オーストラリア、グリフィス大学の自然人類学者であるスミス氏は、15年以上をかけて歯の化学的性質と物理的構造を調べてきた。しかし、環境が変化したときに、それらがどうなるのかについては、長いこと取り組んでこなかった。

「人類の起源を研究している人々は、かなり前から、気候変動や気象が不安定になった期間が人類の進化に重要な役割を果たしていると考えています」とスミス氏は言う。しかし、氷床コアや花粉の記録など、当時の気候を知る手立てからは、個体にどんな影響があったかを検討するほど短期間の変動はわからない。

 今、その状況が変わりつつある。10月31日付けの科学誌「Science Advances」に発表された研究によって、約25万年前に現在のフランス南部にあたる場所で暮らしていたネアンデルタール人の幼年期の様子が、かつてないほど詳しく描きだされた。歯の化学的性質を分析することで、彼らが環境に対処するために、多くの難題に直面していたことが明らかになった。ネアンデルタール人たちは、厳しい冬や鉛汚染を経験し、季節によって変化する資源に依存した生活を送っていたようだ。

 さらに、酸素同位体の分析から、そのうち1人が春に生まれていたことも明らかになった。その後、2年半にわたって母親の乳で育ち、秋に乳離れしていた。(参考記事:「人肉はカロリー低め、旧人類はなぜ食べた?」

「今回の論文は、今まで読んできたものの中でも、特に興味深いものでした。率直に言って、驚きのあまり何度も呆然としてしまいました」と、米ロヨラ大学の古人類学者で、古代の歯に詳しいクリスティン・クルーガー氏は電子メールで述べた。(参考記事:「少女の両親は、ネアンデルタール人とデニソワ人」

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